ここは上海一の目抜き通り、南京路。歩行者天国になっており、入り口にはこんな銅像まで飾られている。
昔は、中国にあるモニュメントといったらツルハシとクワをもった労働者だったのに…。こんなプチブルの像なんか作ってけしからん、と思った方がいるかどうか。いやはや、今や中国の革命的な都市労働者の姿はこうあるべきなのであります。これが憧れなのかな~と思うと何だか微笑ましい。
中国の春節(旧正月)も近いこととて、食品を売る店はどこも混んでいた。茶館で出すようなお茶請けはたいだい売っている。こういうお店は定価で、たいてい秤売りである。どのくらい買えばいいのかわからなかったら、ちょっと待って他の人が買うのを見ていればいい。そうすると、値段とだいたいの量がわかる。で、すかさず、「さっきの人と同じくらい(跟他一样多 ゲンター イーヤン ドゥオ)」と頼めばいい。「このくらい」というジェスチャーも可。
南京路には老舗も軒を並べている。なかでも有名なのは「張小泉」という刃物店で、ここのはさみは高級ブランドである。店に入ると、なぜかカウンターの半分が「双立人牌(ゾーリンゲン)」で占められていたのは時代の趨勢というものだろうか。それでも上海らしく、ちゃんとカニ用品のセットも売られていたのは立派だ。
この通りには国営デパートもたくさんあり、独特な品揃えと陳列方法が楽しくていつも立ち寄っていたが、今では日本のデパートとそっくりになってしまい、面白くもなんともなかった。店員さんも商売熱心で、非常に居心地が悪い(すみません、でも本心です)。釣り銭を投げて寄越す、根性の座った店員さんたちはどこに行っちゃったんだろうと悲しく思っていたら、いましたいました、裏通りにはちゃーんと。ここは国営のお店。カウンターに座って新聞を読んでいる。昔は編み物してる人とか、独り本格ティータイムの人とかバラエティに富んでて面白かったのになー。そういう人を振り向かせることが出来て初めて、少しは中国語が出来るようになったわ!という心からの悦びが味わえたものだった…。